referance)
Immediate effect of lateral-wedged insole on stance and ambulation after stroke.
American Journal of Physical Medicine and Rehabilitation, 2010
外側ウェッジ(Lateral-wedged: LW)インソールが脳卒中患者の立位、歩行に与える即時効果についての報告(実験的研究;前後比較試験)。
対象は、亜急性期の脳卒中患者10名。
介入には、5度のLWインソールを用いた。以下の3条件下で立位・歩行のアウトカム測定を施行。
①LWインソールなし
②麻痺側足部にLWインソール使用
③非麻痺側足部にLWインソール使用
立位のアウトカムは、静的立位での荷重対称性を測定した。また、歩行のアウトカムは、歩行速度、歩行率、歩行周期時間、立脚・遊脚率、各関節角度、各関節モーメントを測定した。
その結果、非麻痺側足部にLWインソールを用いた場合、立位の荷重対称性は、①、②に比べて有意に改善した。
歩行では、3条件において、歩行速度、歩行の対称性改善に有意な差は見られなかった。しかしながら、非麻痺側足部にLWインソールを使用することにより、麻痺側の膝の外転モーメントが有意に減少した。また、麻痺側足部にLWインソールを使用すると麻痺側の股・膝の外転モーメントが有意に減少した。
LWインソールの非麻痺側足部への使用は、立位時の麻痺側への荷重を促し、荷重対称性の改善に有用であることが示唆された。
また、LWインソールの麻痺側への使用では、麻痺側股・膝関節の外転モーメントを軽減でき、麻痺側内転筋の過度な筋活動を抑制できる可能性が示唆された。
歩行速度、歩行の非対称性の改善は認められず、これは、即時的に求めるのは難しく、LWインソールも用いた長期的なトレーニングが必要と推測している。
この報告から、LWインソールの使用方法は、
①立位の非対称性の改善には非麻痺側への使用
②歩行時の麻痺側内転筋の過活動の抑制には麻痺側への使用
と理解できる。
LWインソールの使用は、すぐにでも臨床応用できるので興味深い。インソールの利点を活用し、さらに患者さんに有効な運動感覚課題を付加できるか、そこが大事。
脳卒中リハビリシリーズ
脳卒中リハビリ①:バランス感覚には、足底感覚へのアプローチ!
脳卒中リハビリ②:自転車トレーニングでは、速度一定でお願いします。
脳卒中リハビリ③:脳卒中早期からFES自転車運動で体幹機能を高めよう!
脳卒中リハビリ④:FES自転車運動は姿勢制御に効果的
脳卒中リハビリ⑤:自転車トレーニングは、ただ漕いでるだけじゃダメ。
脳卒中リハビリ⑥:自転車で突っ張る筋肉をほぐせるかも。
脳卒中リハビリ⑦:歩行スピードを高めたいなら、足関節背屈筋力を高めよう。
脳卒中リハビリ⑧:歩行距離をのばすには、やっぱり足関節背屈筋力?
脳卒中リハビリ⑨:上手に歩くためには、エンジンとブレーキ、どっちが大事?
脳卒中リハビリ⑩:歩行立脚期の機能改善には、この装具で。
脳卒中リハビリ⑪:遊脚期の足関節背屈を増強させる新しいトレーニング
脳卒中リハビリ⑫:視覚的フィードバックで知らないうちに歩行が変わる?
脳卒中リハビリ⑬:フィードバック療法で麻痺側の足を使えるようにしよう。
脳卒中リハビリ⑭:非麻痺側下肢も見逃すな。
脳卒中リハビリ⑮:ただ自転車を漕ぐだけではダメな根拠
脳卒中リハビリ⑯:片麻痺にもインソールは有効。
脳卒中リハビリ⑰:中殿筋への機能的電気刺激療法は、歩行の対称性を改善させます
脳卒中リハビリ⑱:効果的な立ち上がり練習の方法
脳卒中リハビリ⑲:立ち上がり動作と荷重感覚
脳卒中リハビリ⑳:筋力トレーニングだけでは効果なし
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