リハビリmemo

理学療法士・トレーナーによる筋トレやダイエットについての最新の研究報告を紹介するブログ

中殿筋への機能的電気刺激療法は、歩行の対称性を改善させます


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Functional electrical stimulation applied to gluteus medius and tibialis anterior corresponding gait cycle for stroke.

Gait & Posture, 2012

片麻痺歩行に対する機能的電気刺激(FES)は前脛骨筋や大腿四頭筋に使用されている。今回、紹介する報告は、中殿筋に応用したものである(実験的研究;前後比較試験)。

対象は、慢性期脳卒中患者36名。

FESを麻痺側の中殿筋(GM)と前脛骨筋(TA)に用い、歩行パラメーターを測定した。

被験者は、快適歩行速度で下記の3条件のFESを施行した。

①FESを立脚期にGM、遊脚期にTAへ施行(GM+TA)

②FESを遊脚期にTAへ施行(TA only)

③FESを施行しない(Non-FES)

歩行パラメターは、歩行速度、ケイデンス、歩幅、二重支持期間、歩行対称性とした。

その結果、GM+TAは②、③に比べて、歩行速度、ケイデンス、歩幅、二重支持期間、歩行対称性において有意に改善した。TA onlyにおいても③に比べ、歩行速度、ケイデンス有意な改善が見られが、二重支持期間、歩行対称性は改善しなかった。

このことから、FESのGMへの施行は歩行対称性の改善に寄与することが示唆された。

とのこと。

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本報告は、即時的なGMへのFES効果を歩行対称性の視点で示してる。斬新で面白いアイデアであるが、非対称性歩行は、interlimb coordinationの結果であり、習慣化された麻痺側下肢の不使用がGMの筋収縮の促しのみで即時的に改善するとは考えにくい。GMへのFESを行いながら、以前、ブログで紹介したフィードバック療法のような感覚入力を付加することでinterlimb coordinationの改善を図るのはどうだろうか?

 

 

脳卒中リハビリシリーズ

脳卒中リハビリ①:バランス感覚には、足底感覚へのアプローチ! 

脳卒中リハビリ②:自転車トレーニングでは、速度一定でお願いします。

脳卒中リハビリ③:脳卒中早期からFES自転車運動で体幹機能を高めよう!

脳卒中リハビリ④:FES自転車運動は姿勢制御に効果的

脳卒中リハビリ⑤:自転車トレーニングは、ただ漕いでるだけじゃダメ。

脳卒中リハビリ⑥:自転車で突っ張る筋肉をほぐせるかも。

脳卒中リハビリ⑦:歩行スピードを高めたいなら、足関節背屈筋力を高めよう。

脳卒中リハビリ⑧:歩行距離をのばすには、やっぱり足関節背屈筋力?

脳卒中リハビリ⑨:上手に歩くためには、エンジンとブレーキ、どっちが大事?

脳卒中リハビリ⑩:歩行立脚期の機能改善には、この装具で。

脳卒中リハビリ⑪:遊脚期の足関節背屈を増強させる新しいトレーニング

脳卒中リハビリ⑫:視覚的フィードバックで知らないうちに歩行が変わる?

脳卒中リハビリ⑬:フィードバック療法で麻痺側の足を使えるようにしよう。

脳卒中リハビリ⑭:非麻痺側下肢も見逃すな。

脳卒中リハビリ⑮:ただ自転車を漕ぐだけではダメな根拠

脳卒中リハビリ⑯:片麻痺にもインソールは有効。

脳卒中リハビリ⑰:中殿筋への機能的電気刺激療法は、歩行の対称性を改善させます

脳卒中リハビリ⑱:効果的な立ち上がり練習の方法

脳卒中リハビリ⑲:立ち上がり動作と荷重感覚

脳卒中リハビリ⑳:筋力トレーニングだけでは効果なし

 

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