加齢とともに生じる姿勢の変化。
いわゆる「ねこ背」は65歳以上の女性の2〜4割に生じることが報告されています(Kado DM, 2004、Takahashi T, 2005)。
今日、ご紹介する研究は、この「ねこ背」が歩き方にどのような影響を与えるか?について調査した報告です。
reference)
Clinical Biomechanics, 2004
研究の対象は、日本の地域在住の高齢者237名(平均年齢80歳)。
立った姿勢を評価し、写真のように5つに分類し、ねこ背でない「正常グループ」とねこ背である「ねこ背グループ」の歩き方について比較検討を行いました。
その結果…
①正常グループは110名で全体の46.4%であり、ねこ背グループは127名で全体の53.6%であった。
②ねこ背グループは、正常グループに比べて、歩幅が減少し、歩く速さや座ったり立ったりする速さも遅くなりやすかった。また、その傾向は高齢になればなるほど強くなった。
③正常グループでは、高齢になっても歩き方や歩く速さに変化は見られなかった。
とのこと。
まず驚いたのは、この研究に参加した半数以上の方がねこ背であったということです。ねこ背は女性がなりやすいことが明らかになっているので(Balzini L, 2003)、特に女性の方は加齢にともない綺麗な姿勢を維持することが難しいのかもしれません。
また、ねこ背になると歩幅が狭くなり、ゆっくり歩くという、お年寄りによく見られる歩き方になりやすいとのことです。
さらに、ねこ背にならなければいくつになっても綺麗に歩き続けることができる可能性があるとのことです。
いつまでも若々しく綺麗に歩くポイントの一つは、ねこ背を予防することかもしれませんね。
これからしばらくの間、ねこ背についての論文を紹介していく予定ですので、ご興味のある方はお読み下さい。
ねこ背シリーズ
ねこ背シリーズ①:ねこ背になると歩き方も変わる?
ねこ背シリーズ②:ねこ背になると生活がつまらなくなる?
ねこ背シリーズ③:「背が低くなったんじゃない?」と言われた要注意!
ねこ背シリーズ④:ねこ背になると転倒しやすくなる 〜大規模研究による検証〜
ねこ背シリーズ⑤:ねこ背になると転倒しやすくなる 〜本当の犯人は?〜
ねこ背シリーズ⑥:ねこ背になると転倒しやすくなる 〜腰がまっすぐになると…〜
ねこ背シリーズ⑦:自分でねこ背を計る方法(前編:科学的根拠の確認)
ねこ背シリーズ⑧:自分でねこ背を計る方法(後編:C7PL2.0をやってみよう!)
ねこ背シリーズ⑨:ねこ背と骨盤の代償運動を理解しよう
ねこ背シリーズ⑩:なぜ、ねこ背になるのか?
ねこ背シリーズ⑪:ねこ背の原因は背筋の霜降り化?
ねこ背シリーズ⑫:ハイヒールを履くとねこ背になる?
ねこ背シリーズ⑬:ねこ背と柔軟性 〜腰椎の柔らかさが大事〜
ねこ背シリーズ⑭:ねこ背になると肩が上がらなくなる?
ねこ背シリーズ⑮:座る姿勢がねこ背の原因になる?
「説明がわからない」「これが知りたい」などのご意見はTwitterまでご気軽にご連絡ください。